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ゴーン氏逮捕の衝撃と日産自動車の今後について思うこと

全く予想してしなかった日産会長の逮捕劇

11月19日夕刻に電撃報道されたカルロス・ゴーン氏(ルノーCEO・日産自動車前会長)逮捕のニュースは大変衝撃的だった。関連するニュースは連日リリースさされており東京地検特捜部による捜査・取り調べが続いている模様だが、事件の核心部分や逮捕容疑である金融商品取引法違反(有価証券報告書における役員報酬額の虚偽記載)に至ったゴーン氏の動機や容疑の認否について等、いまだ明らかになっていないことが多い。

カリスマ経営者逮捕の影響は

グローバル企業のトップ逮捕は大きな経済問題であり、また日産の株主や関係するステークホルダーへの影響は甚大であることから金融市場を混乱させる事態となっている。折しも、米中貿易戦争による世界経済への先行き不透明感から10月以降軟調傾向が続いていた株式市場にとっては、更なる悪材料の発生がまさに「泣きっ面に蜂」の事態と言えるかもしれない。

ゴーン氏がいなくなった後、『ルノー・日産・三菱自動車の企業連合』がこれからどうなるのか興味半分、不安半分の心持ちで見守っていきたいが、売上でも時価総額でも親会社ルノーを上回る日産自動車にとっては、資本関係の見直しや経営の自主性を奪い返したい思いを、日産の日本人経営陣のみならず自動車ファン(とりわけ日産車オーナー)の皆さんは強く持っているのかもしれない。

90年代のの日産車は魅力的だったが・・・

かくいう私も、国産車と輸入車を何台も乗り継いできた自動車好きの一人であり、残念ながら日産車を保有したことはないが、バブル期を含めた90年代には、シルビア・180SX・初代シーマ・R32スカイライン・フィガロなと数々の名車たちが若者中心に人気を博したことを鮮明に覚えている。奇しくも、日産自動車が経営危機に陥って1999年にルノー傘下に入り、ゴーン氏が経営トップに就いた後は、人員削減や工場閉鎖など大幅なリストラを迫られたこともあり、魅力的なクルマがほとんど作られなくなった。

若者のクルマ離れが叫ばれて久しい。多人数が乗れるミニバンや軽自動車の需要が大半を占める日本市場の特質や環境・燃費性能を求めらる世界的な流れに対応せざるを得ないという業界の状況はあったにせよ、自動車ファンをワクワクさせるクルマが日産からほとんど登場していないのは残念だった。
また、ゼロエミッションで世界に先駆けて発売した電気自動車「リーフ」は日産の技術力を伺わせたが、そのデザインが奇抜であることや、その電動ユニットを他の車種に広げていかなかった事が残念でならない。

事件の背後にあったのは、日産によるクーデターなのか!?

ワイドショーを賑わす程、今回のゴーン氏逮捕のニュースは、巨額報酬の過小記載や会社経費の不正支出問題を中心に一般に大きな話題となっている。ルノーによる経営統合に反対をする日産側のクーデターではないかとの見方も強くあり、今後の展開は国内外で広く注目の的になるであろう。少し不謹慎な言い方かもしれないが、検察との司法取引を利用して日産側が入念に準備して仕掛けたゴーン氏排除の企てを国民は「映画やエンターテイメントを観るような感覚」で楽しんでいるように思えてしまう。

やはり企業のガバナンスが機能していなかった

すでに専門家たちが指摘している通り、容疑者であるゴーン氏と側近のケリー氏のみの刑事責任追及で終わる問題ではないことや、有価証券報告書の虚偽記載を見逃した日産の法人としての責任さらにはガバナンス体制の機能不全(取締役会や監査役・監査法人によるチェック機能が杜撰)がより重大な問題として取り上げられるべきだと思う。

日産の株主にとっての投資判断は難しい

東京証券取引所での日産株は、ゴーン氏逮捕の直前は1,005円であったが、一時940円まで値を下げ11月22日は961円で取引を終えている。株価だけをみれば「約4.4%の下落」であるので、18年間に渡って日産の経営トップに君臨してきた大物経営者の逮捕という衝撃からすると、株価は小幅な下落にとどまっていると言えるだろうか。
今後の事件捜査の進展と関連して、ルノーとの資本関係・事業アライアンスが大幅に見直されることになれば、さらなる株価下落を想定した方がいいのかもしれない。
自動運転や電動化など今後も巨額の開発投資が必要な自動車業界にとって、日産がルノーから完全に独立して単独で生き残っていくという選択はまずあり得ないと思うが、日産株を保有する個人株主の人にとって売却すべきかどうかの投資判断は難しいだろう。
また、事件発覚前からもともと配当利回りが高かった日産株だが、株価下落のおかげで配当利回りはさらに上昇して直近では6%に迫る水準だ。現在の株価水準が割安であり配当利回りの高さに魅力を感じる投資家もいるかもしれないが、安易に日産株に新規投資するのは賢明でないと思われる。
なぜなら、日産の高い配当性向(純利益に対する配当金支払いの割合)は日産株を43%保有する親会社ルノーへ利益を移転している性格が強いからである。実際、ルノーの年間純利益に占める日産からの配当収入の割合はおよそ50%にもなっている。
資本関係の大幅見直しがあれば、配当政策は大きく見直されることは明らかだ。

ゴーン氏の逮捕は、今年一番の大ニュース!?

いずれにしても、ゴーン氏逮捕事件の衝撃は大きく、投資家のみならず金融市場に縁遠い一般市民の間にでも高い関心を集める経済・社会問題になっている。単にカリスマ経営者個人の不正事件に留まらず、大企業のガバナンスや格差問題をあらためて考える契機となり、さらには株式市場や自動車業界の勢力図に影響を与えかねない今年一番の大ニュースとなってしまった。



at 16:00, gmoneylife, -

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