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日本人の現金信仰が影響?切符券売機で現金引き出しが可能に!


東京急行電鉄が、ゆうちょ銀行、横浜銀行と協力し、東急の各駅に設置された切符の券売機で現金を引き出せるサービスを始めると先日各メディアが報道した。現在は実証実験中とのことで、本格的なサービス開始は2019年春からと発表されている。駅の券売機で、ATMの様に現金を手軽に引き出せるようになるのは日本では初の試みらしいが、キャッシュレス化が進む昨今、このサービスを利用する人は多いのだろうか?と最初は少し疑問に思ってしまった。



現金引き出しの仕組みはこうだ。まず、ゆうちょ銀と横浜銀の専用スマートフォンアプリで事前に引き出したい金額を申請する。そして、スマホ上に表示された「QRコード」を切符券売機の読み取り機にかざすと、現金が引き出せるという流れだ。


ゆうちょ銀行もしくは横浜銀行の口座を保有していることが前提と思われるが、東京〜神奈川の東急沿線に住む人たちをターゲットにしているので、潜在顧客は数百万人規模になるだろう。引き出し手数料は1回あたり100〜200円程度を想定しているとのことだが、ATMを使うためにわざわざ銀行やコンビニに立ち寄る手間を省けるのなら、通勤や通学などで東急の駅を毎日利用する人たちにとっては便利になるかもしれない。


現在は、スマートフォンを持ち歩けば、電子マネーやクレジット&プリペイドカード機能をアプリで使えるため、コンビニやスーパー、大手チェーンの飲食店などは現金を持たずに決済ができる。つまり、ほぼ現金いらずで普段の生活ができるようになったといっていいだろう。


しかしながら、ある程度の現金を財布に入れておかないと不安に思う人はまだ多いだろうし、現金でないと支払いができない個人経営の店も日本では少なくない。

そう考えると、駅券売機での現金引き出しサービスは意外と大きなニーズがありそうだ。東急に続いて、今後は他の鉄道会社などにこのサービスが広がっていくかもしれない。JR各社が導入すれば駅券売機のATM化が一気に進んでいくのかも!?


駅券売機での現金引き出しサービス導入の背景には、スイカ・PASMOなどの交通系電子マネーが普及したことにより、切符券売機の設置台数が年々減少してきていることがある。鉄道会社にとって単純に業務効率化を進めるのであれば、券売機を限りなく減らしてくことも選択肢になりそうだが、スマートフォンやスイカを利用できない高齢の利用者等に配慮するためには、年々稼働率が下がっているとはいえ、切符券売機の台数はある程度維持する必要がある。維持費のかかる券売機の稼働率を高めるために、現金引きサービス機能を付加することを思いついたというわけだ。


しかし、そもそも現金引き出しニーズが根強いこと自体が時代に逆行しているといえそうだし、日本人の現金信仰が諸外国と比べても相当に高いという事情は興味深い。


日本の現金決済比率は約60%とダントツに高い。


ボストンコンサルティンググループによる試算では、主要先進国の現金決済比率は、ドイツ・イギリス・オーストラリア・米国がいずれも30%台で、北欧スウェーデンは約10%とかなり低い。一方、新興国の現金決済比率は高めで、インド・インドネシア・フィリピンでは70%台である。

主要先進国の平均が32%とのことだから、日本人の現金信仰の高さが際立っているのは明らかだといえよう。


私自身、駅の券売機で切符を購入する機会はほとんどなくなった。名古屋を中心とする東海エリアでは、JRと私鉄各社で相互利用ができる「マナカ」という交通系電子マネー(プリペイドカード式)が普及していて、それを使って鉄道やバスに乗っているからだ。


今回の東急電鉄による現金引き出しサービスの導入は「切符券売機の稼働率を高めたい鉄道会社」「コストのかさむATMを減らせる銀行」そして「現金引き出しニーズのある駅利用者」の3者それぞれにメリットがある試みだと思う。


今後のサービスの広がりにおおいに注目したいところだが、キャシュレス化やITと金融の融合が進むフィンテック時代の中にあっても、日本人の現金信仰の強さをあらためて認識させられてしまった。

at 13:40, gmoneylife, -

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