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FIFAワールドカップで導入されたVARについて思うこと

6月14日から始まったFIFAワールドカップ ロシア大会は、各国の代表チームが連日の好ゲームを演じていて、深夜のTV中継を夢中になって観ている私は寝不足の日々が続いている。開幕戦の「ロシア 対 サウジアラビア」の試合は、アジア予選で日本代表を散々苦しめたアジアの雄サウジが、大量失点を喫してロシアにあっけなく大敗した。あまりにも大きな衝撃を受けたため『日本代表チームは1勝どころか、3戦全敗してグループリーグ敗退するのでは!?』と日本のサッカーファンも悲観的な予感を持ったのではないだろうか。

もちろん、大方の予想を完全に覆した日本代表チームは、初戦のコロンビア戦を2-1のスコアで快勝した後、苦戦が予想された第2戦でもセネガル相手にスコア2-2の堂々たる引き分けという結果を残した。
サッカーに限らず、スポーツというのは世界ランキングや事前の戦力分析だけでは決して測れない要素やドラマティックな展開が繰り広げられるからこそ面白い!

ところで、現在行われている予選グループの各リーグ戦においても明らかな様に、今回のロシア大会から新たに導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が試合の勝敗を握るケースが増えている。これまでのプロサッカーの試合では、レフェリーによる誤審は少なくなかったし、ファールに対する厳しい判定や、明らかに理解できないPK付与などは試合の一部であると受け止められてきた。
しかし、VARというハイテク技術を使うことで、審判や観客が見ていないところでの姑息なプレーや無理やりファールをもらおうと倒れこみをする所謂「シミュレーション」が極めて困難になってくる。

6月15日に行われたグループB予選の「スペイン
対 ポルトガル」において、ポルトガルのエース『C・ロナウド』がスペイン陣内のペナルティーエリアで倒れ込んだプレーは、もしVARが導入されていなければ、審判による当初の判定は覆ることなく、そのままPKがポルトガルに与えられていたはずだ。VARの導入により試合中の様々な判定は公平になるであろうが「人間臭い駆け引きがあるサッカーという試合から、一種の面白さを奪ってしまうのでは?」と私は少し懸念を持ってしまった。

VAR導入で、これまでの常識が変わりつつあるサッカーの試合に擬えるわけではないが、株式や為替市場といった金融市場においても、今までに経験したことがないタイプの米大統領が登場したことにより「これまでの常識や通念というものが使えない市場」に変わってしまったといえるかもしれない。

グローバル経済化が進んだ世界の中で、保護貿易政策を推し進めることは、どの国にとってもメリットはない、つまり貿易制限や自国産業を保護する名目で関税を引き上げれば、直ちに相手国から報復を受けることになり、結果としてどちらの国も勝者になり得ない。
国境をまたいでサプライチェーンが進んだ生産及び調達スキームの中では、貿易戦争を繰り広げている当事国だけでなくでも大きな影響を受ける。米中貿易摩擦が激化すれば、中国へハイテク部品や精密機械を輸出する日本企業は大きな悪影響を受けるだろうし、米国が強硬に推し進めている北米自由貿易協定/NAFTAの見直しにより、メキシコに生産拠点を持つ日本の自動車メーカーは今後の事業見通しや投資計画に狂いが生じる事態となるだろう。

トランプ米大統領はツイッターでの呟きで、発言内容がは日々変わってもはや朝令暮改は日常茶飯事である。アメリカ第一主義は彼の公約であるし、貿易赤字の削減は分かりやすい政策目標であろうが、市場原理や経済合理性を欠いた強硬な通商政策は市場を大きく歪め世界貿易を停滞させることになる。それによって、米国主要企業の業績悪化による株価下落はもとより、彼及び共和党を支持する米国の有権者の利益をも損なう結果になり得ることに早く気づいて欲しいものだ。

トランプ大統領による対中通商摩擦が貿易戦争に発展することははもちろんのこと、鉄鋼/アルミニウム(既に導入済みで、一部製品が適用除外となった)や自動車に対する輸入関税の大幅引き上げ等は、11月の中間選挙に向けた一種の政治パフォーマンスで、実際には実施されないだろうと市場関係者は高を括っていた。

これまで幾分甘く見積もられていたトランプリスクが、大きな市場の混乱とともに市場関係者の考え方や常識を根本から変える事態になりつつあることを、サッカーW杯ロシア大会でのVAR導入と重ね合わせて考えてしまった。

at 18:46, gmoneylife, -

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