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iDeCoの銀行窓販が解禁されるのは朗報か?

個人型確定拠出年金・iDeCoは、申し込みが煩雑で面倒だ


4月17日付の日経新聞記事で報道された通り、厚生労働省は、銀行などの窓口で個人型確定拠出年金いわゆるiDeCo(イデコ)に加入できるようにするとのこと。

現状、イデコの加入手続きは金融機関(運営管理機関)の専用コールセンターが受け付けていて、加入希望者が電話(もしくは専用サイト経由で申し込む)をして必要書類を取り寄せ、それらに記入をして返送をする必要がある。この手続き上の手間が結構煩雑であることが、イデコの普及を阻んでいる要因の一つだと記事では言及している。


筆者自身も、イデコに加入しており毎月掛け金を拠出して老後資金準備をしているが、思い起こせば確かに加入手続きは相当に面倒でだったし、手続きが完了するまでも相当な期間(3〜4か月程)かかったことを記憶している。


イデコは、国民の「人生100年時代」に向けた老後資金作りを支援する有効な制度であるため、規制を緩和して加入手続の煩雑さを少しでも解消しようとする厚労省の試みは大いに歓迎したい。

社会保障審議会・企業年金部会でイデコの規制見直しが早急に議論され、早ければ2018年度中にも関連規則の改正をめざしている様である。


あらためて説明するまでもないと思われるが、イデコは、加入者個人が掛け金の受け皿となる金融商品(主に投資信託)を選んで、その運用結果で60歳以降に受け取る年金額が変わる。したがって、運用結果に関係なく一定の年金を受け取れる確定給付型年金と違って、加入者は受け取る年金が減るリスクを負っている。


尚、多くの会社員が加入していると思われる「企業型確定拠出年金」は、企業の退職金制度の一環であり、毎月の掛金は企業が負担してくれるものの、個人型のイデコと同様、掛け金の受け皿となる投資信託の運用結果によって年金額が増減する。

 

これまで銀行窓口でiDeCoの受付が禁止されてきた理由とは


厚労省が、銀行窓口でのイデコの受付業務を禁止してる理由は、「銀行員が通常業務とイデコの受付業務を兼務することで、リスクや販売手数料の高い投資信託へ加入者を誘導することを防ぐため」と考えられる。

この規制により、銀行はイデコの専門担当者を店舗に置くことをせず、コールセンターで一括して加入手続きの受け付けをしている。この方が、業務の効率化が図れるという見方もあった。


しかしながら、イデコ加入希望者からすると自身で金融機関に必要な書類を取り寄せたうえで再度それを送り返すことを面倒に感じる人は多いだろうから、途中で加入手続きを断念するケースが相当あったと想像される。

規制緩和でイデコ加入者を店頭でしっかり顧客化することが可能になるのなら、銀行は人件費負担が多少増えても店舗に専門の担当者を置きたいところだろう。

 

規制緩和で銀行員の兼務規制がどこまで許されるか・・・


 銀行員の兼務規制が緩和されれば、加入希望者は銀行の窓口でイデコの制度や金融商品の具体的な説明だけでなく、イデコ口座の開設手続きも済ませることができるため、これまでよりもずっと負担は軽くなるだろう。


一方、銀行にとっても資産運用に強い担当者がイデコの受付業務も合わせて行えるようになれば、コールセンターのみで対応していた場合と比べて幅広い加入希望者にコンタクトができるようになるし、手続きを途中で断念されるケースも減ると考えられる。

さて、イデコ加入者と銀行側の両方にとってメリットのある規制緩和に一見思えるのだが、実は銀行員の兼務規制の中身が新たな議論の的になると筆者は予想する。

日経の記事でも触れているが、規制緩和後も「担当者が個別の金融商品を選ぶように推奨したり助言したりすることは引き続き禁じる」ことや「加入者の利益を守る中立性を維持するため、イデコと通常の金融商品販売を兼務する職員には、一定の資格を義務付ける」といったルールの導入が検討されているようだ。


そもそもイデコは金融機関にとっては収益性が低い(毎月の掛け金が少額である・運用対象となる投資信託の販売手数料はゼロである・信託報酬が低いファンドが多い)ことから、彼らは熱心に加入者の獲得をしてこなかったが、イデコは一度加入したら原則として60歳になるまでは途中解約ができない制度なので、長期にわたって資産残高が積み上がっていけばいずれは採算ベースに乗ってくることだろう。

イデコに関する業務は、一部の富裕層向けに行っている通常の投資信託の販売業務とはしっかり別けて、担当者の兼務も敢えてさせないといった配慮が規制緩和後も銀行には求められると筆者は思う。

 

加入希望者は銀行窓口でイデコを申し込んだ方がいいのか?


 投資経験者はもちろんのこと、会社勤務をしていて日中に銀行店舗へ行けない現役層であれば、ある程度の手続きや面倒さはあるものの、大手インターネット証券でイデコ口座を開設することを筆者はお勧めする。

選択できる投資信託のラインナップが充実しているし、各種手数料も店舗を持つ銀行よりも割安だからだ。

 

一方、加入前および後の諸手続きのサポートや制度についてしっかりとした説明を受けたい人で、懇意にしている銀行があるのなら、銀行店舗を利用するのもいいだろう。

ただし、イデコに関するサービスとは関係のない他の運用商品の勧誘があった場合(兼務規制がしっかり適用されない場合)は、それらの勧誘はきっぱりと断ることが大切である。

 

個人型確定拠出年金は2017年より加入できる対象者が公務員や専業主婦へも広がって、職業や立場にかかわらず国民全てが加入できる老後資金準備の制度となったため、イデコという愛称が付けられたわけであるが、厚労省が当初想定していた程には知名度は高まっておらず普及も進まないのは残念なことである。

イデコ加入者は2018年2月時点で約82万人であり、1100万人が口座を持つNISA(少額投資非課税制度)の10分の1以下といった有様だ。

 

人生100年時代の到来で、想定以上に余命か長くなることを踏まえると、自身で老後資金を手厚く積んでおく必要性は高まっている。なぜなら、公的年金の財政は厳しくなっており、いずれ年金支給開始年齢が引き上げられることや、支給額が減額されることもあり得るからだ。


銀行窓販が解禁されることに関係なく、自助努力で公的年金を補う有力な手段の一つで税制メリットも大きいイデコは、全ての現役層の皆さんに加入してもらいたいし、加入時期は早ければ早いほどいい。

at 19:43, gmoneylife, -

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