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「円キャリートレード」は身近な投資法

中国株式市場の急落の引き金となった世界同時株安とともに、一時1ドル122円台をつけたドル円相場が、一気に115円台まで急落(円はドルに対して急騰)したことの背景には、いわゆるヘッジファンド筋による「円キャリートレード(円借り取引)」の縮小に伴う大量の円売りがあったという金融市場関係者の見方は皆さんご承知のことと思います。先週末の米雇用統計の発表で、米国経済の底堅さが確認されたとの見方により、ドルが買われて円高状況は一服した感もありますが、今後「円キャリー取引」は縮小していき、円高傾向が続くのでしょうか?個人的意見では、最近の円キャリー取引の縮小は一時的なものだと思います。政策金利である短期金利の比較で見ると、ユーロ圏の3.75%、米国の5.25%に対して、日本はいまだに0.5%(無担保コール翌日物)と超低金利のままです。長期金利(10年物国債利回り)でみても、米国4.6%前後に対して、日本1.6%前後と約3%の大きな利回り格差があります。つまり、円キャリー取引は、この金利差から再び拡大し、円高がさらに進む可能性は低いと予想します。

さて、この「円キャリー取引」は、ヘッジファンド等のプロ投資家グループ達が行う特別な投資手法でしょうか?実は、幅広い分野で活発に利用されている身近な投資手段だと言えます。例えば、”円建て住宅ローン”というのが一部の外国で人気を集めています。海外で”円建て住宅ローンってどういうこと??”と疑問に持たれる方もおられるでしょうが、韓国やスペイン、そして一部の東欧諸国では、一般の人たちが、自国通貨ではなく金利が低い日本円でわざわざ住宅ローンを組んで住宅を購入しています。日本に住んでいる私達にとっては、円建て住宅ローンは当たり前のことですが、それ程円の超低金利は海外の住宅購入希望者にとっては魅力的なのでしょう。
また、近年一般の個人投資家に人気のあるFX(外国為替証拠金取引)は、身近な「円キャリートレード」の一つです。一定額の証拠金を担保として預ければ、最高でその金額の十倍超の取引が可能になり、100万円預ければ1,000万円超(10万ドル相当)の金額で取引ができます。FXの第一の魅力は、このレバレッジ(借り入れによる)効果を活用して大きな為替差益を得ることなのですが、円とペアになる他通貨との金利差から得られるスワップポイントが大きいことが、円キャリートレードからなるFXのメリットです。FXを通常の外貨預金や外国債券投資(ファンドを含む)と同列に見なすことはできませんが、依然超低金利の日本円での運用に不満の個人投資家が、高金利通貨(日本円に比べるとほぼ全ての外国通貨が該当します)への投資に目が向くのは自然な行動だと言えます。
ヘッジファンドが行う円キャリートレードは、巨額で短期志向である場合も多く、各国の金融情勢の変化や地政学リスクの発生により、急激にポジションの調整すなわち円ロングポジション(円買いドル売り持ち)から円ショートポジション(円売りドル買いポジション)への変更を行います。FXなどの円キャリー取引を上手に資産運用の一つとして利用することは結構なことですが、やはり個人投資家は、国際分散投資や長期投資のスタンスをしっかりと持った資産運用を基本として心がけるべきでしょう。

at 23:27, gmoneylife, -

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